2015年10月6日火曜日

被災地からの教訓


私の本業は建築系の仕事で、ほんの小さな会社を経営しています。一方で2013年夏に始めた、主に東日本大震災被災メーカーさんの商品を販売する『いわて三陸物産展』を現在に至るまで定期的に開催しています。

震災から約2年が経過して、被災地のために何もできておらず悩んでいた私を現在の活動に導いてくださった恩人の一人と言える木下繁喜さんが、今も岩手県大船渡市に住んでおられます。地元新聞社「東海新報」の記者だった木下さんと東京でお会いした際に、私が行ないたいと思っていることをお話しするとすぐに地元に招いてくださり、何日かに分けてお知り合いのメーカーさんに直接連れて行ってくださいました。初めてお会いする方々に私のことを熱くご紹介いただき商品を仕入れることができるよう導いてくださいました。今になって、飛び込みでメーカーさんの信頼をいただくことの難しさを強く感じていますので、木下さんのお人柄とそれまで築き上げてきた地元での信頼が、それを可能にしてくださったのだと感謝しています。

その木下さんの想いは、やはりご自分たちのつらい経験から、日本中の方が教訓を得てほしいというものだと思います。木下さんご自身、震災発生時から現在に至るまで本当にたくさんの苦しみを経験されています。そのほんの一部を話してくださったこともありました。お会いして少ししてから木下さんは東海新報社を退職され、今年に入り1冊の本を出版されました。『東日本大震災―被災と復興と―岩手県気仙地域からの報告』という本です。私たちが報道などで知ることがなかったような、被災地で起きた真実、そして復興に向けて動くことの難しさなどが綴られています。でも、ひときわ心に残ったことは大きな災害を経験された方ならではの想いでした。一例を挙げると「日常飲んでいる薬の名前や情報を肌身離さず持ち歩いてほしい」ということがあります。主治医だった方が震災で亡くなったり通っていた診療所が閉鎖されてしまったりしたため、自分の飲んでいた薬がわからなくなってしまったという方が多かったそうです。災害の時とはいえ薬を飲まないことが命に関わるというケースもありますもんね。自分と家族の薬の情報を、家族で共有するようにしたいと思います。本当にお世話になっている木下さんの想いも伝えていけたらと思っています。よければ木下さんの本もお読みください。

http://www.amazon.co.jp/東日本大震災-被災と復興と-木下-繁喜/dp/4899841507

やまざきひかる

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